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妙国寺と桜

かなざわ桜物語

卯辰山寺院群にある妙国寺は日蓮宗のお寺である。金沢市指定文化財の山門と桜のコラボは必見。この山門は薬医門と呼ばれる伝統的な形式を持つ建築である。本柱は棟の前方に位置し、その背後に控柱を配置する構造となっている。両柱には梁が架け渡され、その上に束を置いて棟を支える仕組みである。この独特の構造が、山門の趣深い佇まいを形作っている。

さらに、脇塀が接続していたことを示す柄振板の痕跡が確認されており、その復原により脇塀の屋根が板葺きであったことが判明している。棟札の記録から、この山門が安永9年(1780年)に建築されたものであることが分かっている。これは卯辰山麓寺院群において最も古い建築年代が明らかになっている門であり、歴史的にも極めて貴重な存在である。

屋根には当時の古い赤瓦が一部残されており、その風合いは歴史の重みを今に伝えている。また、参道は発掘調査を経て整備されており、かつての姿を感じられるよう配慮されている。この山門は、往時の雰囲気を色濃く残し、訪れる人々にその時代の空気感を伝える重要な文化財である。