目の前は犀川が広がる絶好のロケーション。特に桜の時期は格別だ。オーナーシェフの吉田さんは、フランスや東京などで腕を磨いた本格派フレンチを得意としている。
カウンターメインの店内は作る様子をライブで楽しめる。もちろん奥にはテーブル席も用意されているのだが、ここではカウンターに陣取るのが正解。
味に真っ直ぐで妥協しない頑固なフレンチ職人は、考え方も無骨そのもの。
「とりあえずのビールが嫌。だから生ビールは置かない。」
そのこだわりを貫く代わりに、グラスシャンパーニュを安く提供している。訪問時は900円であった。
スパークリングワインでなく、シャンパーニュでこのお値段は破格。あの価格破壊でおなじみの「俺のフレンチ」ですら千円オーバーなので、どれだけ努力しているかがうかがえる。
ちなみに瓶ビールは置いてあるので、ビール派でも安心してほしい。
従来のフレンチのような「見た目繊細、量は少なめ」ではなく、「味は繊細、量はガッツリ」がクルールの特徴。さらに、
「宣伝費に掛けるお金があるなら材料費に回したい。」
そんな不器用な人間なので未だにホームページすらなく知名度では他の有名フレンチにまだ追いついていない部分はあるが、一度訪れた金沢のマダムなどを虜にし、口コミでじわじわと裾野を広げている。
あまり大きな声では言えないが、職人気質ゆえ原価計算がやや不得手で、お客さんの笑顔見たさに良い材料を採算度外視でどんどん出してしまうところがある。特にランチにその傾向が顕著に見られる。
客側としては嬉しいのだが、本当にこの先やっていけるのだろうかと余計な心配をしてしまう。そのうち原価計算も上手になるだろうから、その前に一度訪問しておくといいだろう。
ディナータイムでもアラカルト歓迎のこちらは、グラスシャンパーニュ片手にアラカルトをつまむ、なんて大人の使い方も可能。
また、北陸の冬は食材の宝庫となるが、それに加え野生の鴨や猪などを使ったジビエ料理が冬限定でお目見えする。
吉田シェフは一見取っ付きにくそうな外見だが、中身は人懐っこい今どきの若者。意外なほどよく話されるので、そういった意味でも特等席のカウンターがおすすめだ。
続きの写真を見る
フレンチ クルール(couleur)
住所:石川県金沢市十三間町93
電話番号:076-255-0266
営業時間:
ランチ 12:00〜L.O.14:00
ディナー 18:00〜L.O.22:00
定休日:水曜日
料金目安(ディナー)
アラカルト 1,000円台〜
コース 6,000円〜
片町バス停より徒歩5分
田舎風パテ
パテ・ド・カンパーニュは吉田シェフの得意技。アラカルトでもコースでもお目にかかるメニュー。
生臭さやエグみは一切なく、肉の旨味だけを閉じ込めた逸品。
フォアグラの入ったクルールスペシャリテも要チェック。濃いめの赤ワインとマリアージュを。
人参のポタージュ
その日によって素材は異なるが、この野菜系のポタージュは絶品なので必ず食しておきたい。
新玉ねぎのムース
サラダ感覚でいただける不思議な一皿。目にも鮮やかな一品。
サゴチ(サワラの若魚)のポワレ
外はカリっと中はふんわり。火の入れ具合が完璧。琥珀色の海老コンソメがよく合う。
金目鯛のポワレ
アメリケーヌソースが金目鯛のポテンシャルを余すことなく引き出している。
ハラミステーキ
アラカルトに入っていたら頼んでおきたいメニュー。野趣溢れるハラミを絶妙のソースで美味さ倍々ゲーム。
ブランマルジェ
【とある日のランチメニュー(2,500円)】※訪問当時
田舎風パテのサラダ
オレンジカリフラワーのポタージュ
サワラのポワレ
もち豚肩ロースのローストとおまけの牛ヒレ
本日のデザートとエスプレッソ
※2019.10からのランチはA3,000円、B5,000円、C8,000円の3択(+税)。3,000円で十分満足できる内容。5,000円、8,000円はハレの日にいただきたい。