「すみませ〜ん、いま満席なんです。」
17時半開店なのに18時ともなれば何度も繰り返し聞こえるマスターのお詫びの言葉。
金沢市で1,2位を争う繁盛店、それがいたるである。マスターが格(いたる)さんだから『いたる』。店内はいつも活気に満ち溢れていて不況どこ吹く風といったお店だ。
観光ガイドやTV・雑誌の取材も多いため観光客が多いのだが地元の方の常連も多い。女性のお一人様も珍しくない。
加賀野菜や氷見港直送の魚介類など北陸の豊富な食材に恵まれているということもあるのだが、いたるは料理の基本にこだわりにこだわっている。
例を挙げるといたるの板前さん達は一番出汁、大根のかつら剥き、出し巻き玉子といった一流料理人に必須の技術を徹底的に叩き込まれる。
その板前さん達が吟味された至極の食材を扱うのだからうまい料理が出来るのは必然だろう。
カウンターと板前さんの距離が近いので彼らがきびきび働くところをつまみに酒が飲める。無駄な動きのない男達の仕事に感心しながら飲む酒は美味い。
人気店の宿命で口コミサイトに批判的な意見も出てしまうのも仕方ない。メディアの影響で無意識のうちに必要以上にハードルを上げてしまうのだろう。
観光地価格と言われても居酒屋チェーン店のように素材の質より価格重視のスタイルのお店に比べればそりゃ値段は上がる。だが、同レベルの良い素材で片町で営業しているお店より3〜4割程割安で営業されていることは間違いない。
また賑やかなのが苦手で静かな店内を希望される方や刺身の切り方が分厚く豪快がいたるの売りのひとつなので、懐石料理のような繊細な盛り付けを好むような方などには相性が合わないこともあるかもしれない。
だがよく読むと価格のことをいう口コミは多少あるものの、美味しくないという口コミがほとんど見当たらないのはさすがである。
いつ行っても同じような鮮度で同じように美味い、この裏切らない安定感。いつも同じ水準を当たり前のように保つことは、一見容易なようで実は難しい。であるからこそ地元民が県外から客を連れてきて安心な店として重宝されているのだ。
お店に行ったら必ず食べてほしいのが、お刺身桶盛り。その日お勧めのお魚5点が氷を敷いた桶に涼しげに乗っている。
あと定番メニューで言えば、出し巻き玉子や郷土料理の鴨の治部煮・ハス蒸しなど。
季節メニューとして、岩牡蠣・のど黒塩焼き・加賀野菜の五郎島金時芋(薩摩芋)の天ぷら・白海老・香箱ガニなどなど挙げるとキリがない。
迷っても黒板メニューを見ながら板前さんに相談するとベストな料理を指南してくれるから安心。
最後に余力があればデザートも食べてほしい。フレンチやイタリアンに劣らないクオリティと品揃えで胃袋の最後の隙間まで満足させてくれるだろう。
予約必須のお店ではあるが、当日なら香林坊などの支店を当たってみるか、どうしても本店という方は開店直後に駆け込むか、思い切って9時以降にすれば入りやすい。
金沢で豪華に加賀懐石を楽しむのもいいとは思うが、いたるで地産地消を心ゆくまで味わうのもいい思い出になるはず。当店のモットーである『おあいそ足軽、味大名』をきっと体験出来るはずだ。
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いたる本店(HP)
住所:石川県金沢市柿木畠3−8
電話番号:076-221-4194
営業時間:17:30〜23:00L.O
定休日:日曜(月曜が祝日の場合は営業)
香林坊・広坂バス停から徒歩5分
こちらが名物店主
何はともあれビールから
刺身桶盛りは毎回違うラインナップ 一人用桶もあり
夏は岩牡蠣
冬は寒鰤
鰤をトンカツ風に仕立てたものをデミグラスソースで
白子酢
タグ付きの加能蟹食べにいこう
金沢名物もしっかり「治部煮」
加賀野菜 加賀太きゅうり
加賀野菜 五郎島金時の天ぷら
皮はサクサク、身はホクホク。抹茶塩ともよく合う。
のど黒酒蒸し
のど黒焼き
玉子焼きも自慢
よい鯖が上がった場合のみ出す「サバサンド」
締めの逸品 じゃーだら麺
創作料理が得意なマスターの真骨頂。冷麺をベースに肉味噌を絡めて。温泉卵は別料金。
別腹その1
細かい芋の食感が心地良い「五郎島金時芋プリン」
別腹その2
表面カリカリ、中はしっとり「加賀棒茶ブリュレ」
年末はお節の配送も。22,000円(平成30年価格)