今思えばとても失礼なことだが、こちらの博物館にはなかなか足を運ぼうという気持ちにならなかった。
入場料100円だし、商人の博物館ってあまり見所がないのではと高をくくっていた。
あまり興味が湧かないけどまあ一度は行ってみようかなぐらいの軽い気持ちで入ったのだが、これが予想をはるかに覆させられることになり、いままでなぜもっと早く訪れる機会を設けなかったのだろうという自責の念に駆られることになる。
老舗記念館の建物は明治時代に建築され、大正時代に改修された町屋で天正7年開業の金沢の薬種商「中屋薬舗」の旧店舗を金沢市が寄付を受け一般公開に至った。
木造2階建てでかつ間口が広く当時としては大型の町屋であったらしいが、現在は1階において中屋薬舗の「みせの間」を再現し、当時は住居スペースであった2階に藩政時代の金沢の町民文化や伝統産業、生活道具の展示をしている資料館となっていて当時の様子をうかがい知ることが出来る。
1階でみせの間をはじめ、書院の間・おえの間・茶室・庭園を見学し2階に向かう。
そこでトップ写真に掲載している繊細で華麗なフラワーアレンジメントに目を奪われる。そのフラワーアレンジメントはなんとお菓子でできている。餅粉・粉糖・食紅で作られた「花御輿」という芸術作品。
約9ヶ月をかけて完成させたというまさに『大作』と呼ぶにふさわしい。これだけで100円の入場料の価値があるように思えてしまう。
その他結納の加賀水引や加賀友禅の花嫁のれんなど金沢地方の婚礼模様や当時の金沢の代表的な老舗の蒔絵の食器や生活道具を見学していたらあっという間に小一時間ほど経過していた。
もちろん見学時間は人にもよると思うが、これほどお得感を感じられる博物館もそうそうあるものではないので武家屋敷跡を訪れる際にはぜひ立ち寄ってほしいと思うスポットである。
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金沢市老舗記念館(HP)
住所:石川県金沢市長町2-45
電話番号:076-220-2524
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:年中無休(展示替期間は休館)
入場料:100円(高校生以下無料)
(※)以前は写真撮影不可だったようですが、訪問時は撮影OKでした。
香林坊バス停から徒歩5〜6分
近くで目をこらして見つめても全くお菓子には見えない。
さすがお茶文化の発展した金沢らしい「秀作」に写欲が湧きまくる。
歴史ある建造物ならではの風格あふれる大型町屋。
藩政時代の薬種商の様子を見事に復元している。まるで時代劇のセットのよう。昔の薬屋さんだけに小さな引き出しが沢山ついている薬箪笥が特長。
冬の庭の景色もなかなかだが、雪解けの季節にまた訪れたい。
餅でできた「軍配餅」や「巾着餅」。季節展も行われているので何度来ても楽しめる。
金沢での結納の様子。加賀水引や花嫁のれんなど絢爛豪華ではあるが、金沢での結婚はどんだけお金がかかるの、と思ってしまう。